僕が中学生時代に所属していたテニス部は、隣市にある調布市営テニス場(東京都)での地区大会が秋の恒例行事、ですがいつも1or2回戦で全員敗退して早々と会場を後にする弱小校テニス部の僕達(´・ω・`)
トボトボと学校に戻り練習を始めると、試合に来なかった補欠のビーバー(あだ名)が泣きながらテニスコートにやって来るではありませんか
「誰も来てくれなかった~💧」
どうやら朝の待ち合わせ場所の調布(ちょうふ)駅と銚子(ちょうし)駅を間違えたらしく、銚子駅改札口でひとり待ち続けていたそうです。。
「何で武蔵野・三鷹地区大会の待ち合わせが千葉県の銚子駅なんだよ(`Д´)ノ」
あの時はビーバー(補欠)の試合参加は無かった筈、だったらJR銚子駅1,2番線の先にあるホームから「銚子電鉄」に乗ってぬれ煎餅を手土産に学校まで戻って来て欲しかったものです。
〈目次〉
銚子鉄道を救った「ぬれ煎餅」
犬吠駅改札掲示板より抜粋
銚子電鉄は千葉県最東端の銚子市を走る全長僅か6.4kmの小さな私鉄です、そんな鉄道会社が販売している 「ぬれ煎餅が起こした奇跡の実話」をご紹介させていただきます。
銚子電鉄は過疎化による人口減少や観光客の減少により年々乗客数が減り、行政からの補助金で何とか運行を維持している状態でした。
昭和30年代に年間250万人以上いた乗客は平成に入ると100万人を切りいつ廃線になるかと不安を抱えながら仕事をしていました。
平成18年恐れていたことが現実に変わりました、当時の社長に横領が発覚、その額は1億円を超えすでに行政からの補助金は打ち切りになっており、倒産の危機が日の前に迫ってきました。
しかも時を同じくして国上交通省の監査が入り老朽化した線路や踏切の改善・修理の命令も出されました。3カ月以内に改修をしなければ運行停止、それには約5000万円もの費用が必要で会社にとってこれは死刑宣告とでも言うべきものでした。
(中略)
社員の給料さえも全額払えない状況でこの時の通帳残高は僅かに200万円、銀行からの追加融資も元社長の横領問題で望めず会社存続は絶望的な状況でした。それでも何とかしなければならない…出来る事といえば数年前より製造・販売を開始した副業の「ぬれ煎餅」を売ることだけでした。
電車を走らせる為に「買って下さい買って下さい」来る日も来る日も必死になって売り歩きましたが、そう簡単に売れるものではありません。現実の厳しさを思い知らされました。「本当にこんなことに意味があるのか?」「私達が思うほどに銚子電鉄は必要とされてないのか?」そんな思いが頭をよぎりやる気を失いかけていました。もうダメかと諦めかけていたある日の朝パソコンを開くと膨大な数のメールが2000…3000件「ぬれ煎餅」のご注文が今までに見たことがないようなペースで入り続けていました。
一瞬わが目を疑いました一体これはどういうことなのだろう?
実は3日前の夜「もはや残された時間はあと数日このままでは完全に資金ショートを起こしてしまう何かしなければ」 そう思った時にふと思いついたのが、インターネットでぬれ煎餅の購入を呼びかけることでした「ぬれ煎餅を買って下さい、電車修理代を稼がなくちゃいけないんです。」という言葉が自然と頭に浮かび、思わずホームページに書き込みをしたのです。
この書き込みを見た多くの人がインターネットの掲示板やブログ(日記)などで「ぬれ煎餅の購入」を呼び掛けてくれたためでした。そのメッセージに10日間で10000人以上のお客様が共感してくれたのです。
その後テレビなどにも取り上げられ、この売上げにより「車両の法定検査」や「老朽化施設の改修」などの費用を賄うことができました、これはまさに思いもよらぬ 「奇跡」でした、煎餅は爆発的な売上げを記録しました。
そして、ご注文をいただく多くのお客様からメッセージが添えられていました。
「年金生活なのでこれが精一杯の買い物でした。 ごめんなさい…」
「彼女との初デートに銚子電鉄を利用しました、その時僕が緊張しているのを見た車掌さんが話しかけてくれ二人を和ませてくれました。その時の彼女は今僕の妻です子供も二人できました。僕達を結びつけた銚子電鉄、あの時の優しい車掌さん、今度は僕が助ける番です。」
「子供達がお金を出し合いお煎餅を注文しました、銚子電鉄がんばれ!」
「私が小さい頃、去年亡くなった母と銚子電鉄に乗った大変楽しい思い出があります。優しかった母との思い出の一部がなくなってしまうのは悲しいです。 絶対に守ってくださいずっと応援します。」
メッセージを読んでいると涙が溢れてきました。「ありがとうございます、ありがとうございます。」ただ感謝の言葉しか思い浮かびませんでした。私は「苦しいときに助けを求めることは、 恥ずかしいことではない」ということを学びました。
あの時、ホームページにぬれ煎餅の購入を呼びかけて本当に良かったと思っています。もし呼びかけていなければ、もう銚子電鉄は確実に廃線となっていたことでしょう。
(中略)
今でもぬれ頼餅をご購入していただいたお客様から「電車大丈夫?」と心配されたり「電車運行がんばって!」と激励を受けたりしています、お客様に恵まれ本当に幸せです。
全僕が泣いてしまう感動のエピソード、隣駅の「仲ノ町」にある銚子電鉄本社に立ち寄ると更に泣ける事請け合い(T-T)
そしてあの時ビーバーも学生服を涙で濡らしていた事でしょう「誰も来てくれなかった~」
1日乗車券で巡る銚子電鉄
1日乗車券は700円で電車内で購入
小柄でカワイイ女性の車掌さんから手渡して貰いハァハァ…お釣りナシの購入だと好印象だったかな?と思うと少しだけ悔やまれます。
路線図(沿線案内)は手書きそして商魂逞しい車内吊り広告
銚子電鉄の車庫とヤマサ醤油工場を見学出来る沿線内では要チェックである仲ノ町駅なのですが
現在(2021年9月)は感染予防の観点から当面の間中止。ヤマサ醤油工場前でガッカリ…そして駅前車庫の車両を遠くから眺める僕(x_x)
デコレーションした車内と座席に座り皆を待っているぬいぐるみも何だか寂しそう…
ビーバーとテニスをしていた昭和の頃を懐かしみながら再び銚子電鉄に乗車しました。
飯沼観音がある「観音駅」
観音駅から徒歩5分の圓福寺に祭られているのは「十一面観世音」と呼ばれる頭部に11の顔を持つ観音菩薩ですが秘仏なので実際の姿を見ることはできません。
見る事の出来ない観音さまの代わりに大仏があるのは如何なものでしょうか?
観音さまを見る事が出来ずイラついた参拝客が、後ろから頭を狙ってお賽銭を投げてしまいそうな位置にある大仏が不憫でなりません。
駅前にある圓福寺本坊ですが、観音と謳いながら大仏の出てきた本堂の失望感からココはスルー。。
じゃあな観音駅(`Д´)ノ
徒歩で行く銚子電鉄
6.4kmで10駅と距離の短い銚子電鉄は駅間を散歩気分で歩いて行けるのも魅力のひとつ、本銚子(もとちょうし)駅から2駅程歩いてみました。
本調子であれば全国大会も行けたのでは…と今更ながら夢見てしまいますが、部員が少なくビーバー如きがたまに(人員不足で)間違って試合に出る弱小校テニス部は1回戦負けがお似合い。
「何が日本一だ!何がテニス部を強くしてやるだ!お前は補欠だビーバー…ただの補欠じゃね~か…補欠のくせに何が全国制覇だ…夢見させるようなことを言うな!!」
画像引用先:https://www.underwater-festival.com/wp-content/uploads/2020/09/MG00029-13-768x1221.png
銚子市立清水小の脇の道を通りエドノフーズのある踏切を渡り
そして土が盛ってある場所の道を左折すれば15分程で次の「笠上黒生」駅に到着出来るのですが
犬吠埼観光ホテル看板のビジュアルに惹かれ線路の向こう側の道を通ったら迷いに迷ってしまい隣駅までの移動時間が50分かかってしまいました(ノД`)
笠上黒生(かさがみくろはえ)駅
中学生時代からオデコが後退していたビーバーをハゲしく思い出してしまう駅(T-T)
「何がAGA治療だビーバー!夢見させることを言うな(ノД`)」
10分程歩いて到着した西海鹿島(にしあしかじま)駅はビーバーの額とは対照的なホームの幅がとっても狭い駅。。
またまた10分程歩いて到着した海鹿島(あしかじま)駅は関東最東端の駅、「頭嘆(とうたん)…」とか勝手な造語を呟きながらベンチに座り終点の外川方面に向かう電車を待ちます。
西海鹿島~君ヶ浜~犬吠は広大な土地が続き線路沿いの道が無くて徒歩での移動は不向きな区間
右も左もこんな景色が続きます
そしてまたもや出会った女性車掌さんにハァハァ…
積極的に話かけているオヤジもおりましたが僕にはそんな勇気もなく僕はただ目で追っているだけの惚れオヤジ
なんか写真集も出してるみたい
知る人ぞ知るアイドル車掌の袖山さん、高嶺の花だという事に気づき犬吠駅で電車と袖山さんに別れを告げます(;_;)/~~~
銚子電鉄は廃止の危機にもめげず
慢性赤字の銚子電鉄は、国や県市からの補助金で穴埋め、残りの赤字をぬれ煎餅などの物販の収益で補っているが20年度決算はさらに顕著に、もうやめた方がいいという意見も株主総会で出てきておりますが、鉄道をやめて副業だけを残すのは副業の売上高激減は間違いありません。
「銚電は全国から支援を受けている。鉄道は(お金に置き換えられない)地域の広告塔であり情報発信基地でもある。あと1年の任期中、地域経済のために最大限の努力をしたい」銚子電鉄、株主が総会で廃線進言 煎餅販売を「本業に」:朝日新聞デジタル
そんな銚子電鉄を代表する駅が犬吠駅、犬吠埼まで徒歩7分の場所にある観光拠点の駅ですが
駅員は不在で売店のおばちゃんが駅員がわり(>_<)
ぬれ煎餅を購入する綺麗なお姉さんに(;´Д`)ハァハァ…
無選別ぬれ煎餅(濃い口味)500円を購入後、食べながら犬吠埼灯台に向かいます。
こちらは閉館して廃墟物件化している犬吠埼マリンパーク
そして犬吠埼灯台もコロナ禍により灯台参観業務を休止
白いポストから手紙を送ると銚子郵便局の風景印を押してくれるみたいですが
そんな事はどうでもイイと海に向かって口笛を吹く僕(`ε´)ピー 思えばビーバーは出っ歯だったので口笛が上手く吹けなかった事を思い出します。
犬吠埼は常に強い海風を受ける場所で今はヅラ使用のビーバー(多分)にとっては辛い場所なのです。
カップルや夫婦で来てる人達もおりますが僕はいつもぼっち「誰も(一緒に)来てくれなかった~」と(心の中で)泣き叫びながら駅に戻る僕。。
終点の外川(とかわ)駅はレトロな雰囲気の駅舎
駅前にある懐かし車両「デハ801号」の先には青い海が広がる外川漁港があります。
漁港に佇みふと思ってしまいます。漁師達の帰ってくる港は学校のテニスコートみたいに、待ち合わせ場所を間違えて会えなかっとしても、そこに戻れば皆の笑顔に会う事が出来るのです。
そんな港や海を暖かく見つめながら走る銚子電鉄、切実な事業内容も分からずに廃止反対と叫ぶのは無責任な意見かも知れませんが、懐かしい人達と会える「銚子電鉄」はいつまでも運行して欲しいものです。
誰も来てくれなかった~(ノД`)