春先になると途端に仕事が少なくなって休みが続き、働く日と財布の中身が激減する日雇いバイト、おかげで僕はこの時期に咲き始める桜の花が大嫌いになってしまいました。
職場の日雇いバイトの梅ちゃん(あだ名)は、鮮やかな黄色の菜の花が目障りで大嫌いとの事、まぁ僕も桜の淡いピンク色にイラッとしてしまうので気持ちは良く分かります。そんな梅ちゃんを思い出しながら乗った電車は、これからの時期に菜の花と桜のコラボが美しい千葉県の第3セクター路線「いすみ鉄道」。
ちなみに梅ちゃんは菜の花より嫌いなモノ(人)があります、それは職場で立場もわきまえずに威張っている自称バイトリーダー「ゴーヒー(あだ名)」。
〈目次〉
- 「いすみ鉄道」菜の花と桜の見頃は3月下旬から4月上旬
- 国吉駅での途中下車は第二五之町踏切の撮り鉄とポッポの丘
- 大多喜駅での途中下車は大多喜城と本多忠勝の墓所
- 終点の上総中野駅で下車 ~いすみ鉄道と小湊鉄道と撮り鉄~
「いすみ鉄道」菜の花と桜の見頃は3月下旬から4月上旬
いすみ鉄道沿線での菜の花の開花時期は例年2月中旬頃で、見頃を迎えるのは3月中旬から4月中旬にかけて。そして桜の開花時期は3月下旬から4月上旬頃、この時期の車窓からは桜と菜の花が楽しめます。
今日は桜が咲き始めた時期(3/19)で菜の花が圧倒的に目立つ車窓、梅ちゃんが乗車したらさそがしイライラした事でしょう。
いすみ鉄道の起点はJR外房線との接続駅でもある「大原駅」
JRの改札を抜けた右手には菜の花電車入口、ここがいすみ鉄道大原駅の改札口なのです。
シーズン中という事もあり切符売場&おみやげコーナー共に大盛況
切符は「1日フリー乗車券」が断然オススメ、いすみ線は下車時に車内で検札・清算する方式で、観光客が多い混雑時にはサッと見せるだけのフリー乗車券はスムーズに下車出来ます。
料金はおとな平日1200円・休日1500円 自動販売機で購入したせいか想像していたビジュアルと違って少しガッカリ(´・ω・`)
大原発のダイヤは平日13本に休日11本
発車10分前に乗車したら座席はすでに満席、かつては廃止寸前の状況から観光路線として再生したいすみ鉄道、ゴーヒーとの確執でイライラ気味の梅ちゃんも、いすみ鉄道の頑張りを見習って欲しいものです。
運転席後ろは3,4人の乗客がひしめいており先頭の窓際スペースをゲットするのは不可能、僕は仕方なく車両後部を陣取って発車を待ちます。
9時17分大原駅を出発、菜の花と咲き始めの桜と撮り鉄が待つ線路を走り抜けるいすみ鉄道。
いすみ線は千葉県いすみ市の大原駅から、千葉県夷隅郡大多喜町の上総中野駅までを結ぶ路線で終点の上総中野駅では小湊鉄道と繋がっております、もし直通運転をすれば房総半島横断鉄道が実現しますが、両線の直通運転は行われておりません。
やっぱり梅ちゃんとゴーヒーみたいな諍いがあるのでしょうか??
漢字に強い梅ちゃんは日雇い職場で発送先の住所を読み上げる作業が大好き、しかし先日ゴーヒーが毎週コロコロ変わる職場ルールをいちゃもんの様に持ち出して梅ちゃんから読み上げ作業の仕事を強奪。
上総東(かずさあずま)駅で発車待ちする向かいの車両がショボンとした梅ちゃんに見えて仕方ありません(T_T)
一方「梅の野郎を潰してやったぜ!」と勝ち誇るゴーヒーは勘違い路線を一直線
国吉駅での途中下車は第二五之町踏切の撮り鉄とポッポの丘
国吉駅は駅舎が商工会との合築となっております
そのせいか商魂たくましい地元の方々が停車中に販売にやって来たりします
国吉駅途中下車スポットで有名なのは、撮り鉄の聖地としても名高い「第二五之町(だいにごのまち)踏切」は警報機も遮断機も無い第4種踏切。
・第1種踏切(警報機あり・遮断機あり/通常の踏切)
・第2種踏切(警報機あり・係員が遮断機を操作する踏切で現在国内にはありません)
・第3種踏切(警報機あり・遮断機なしの踏切)
・第4種踏切(警報機なし・遮断機なしの踏切)
第二五之町踏切は国吉駅と上総中川駅のちょうど真ん中付近で、どちらからも徒歩30分程度の距離ですが、国吉駅には土日祝限定で無料レンタサイクルが利用できます。
【使用時間:土・日・祝の10:00~15:00】
ブレーキの効きが弱い錆サビ自転車は出発前に要点検、そして使用は全て自己責任になるので事故には注意して乗りましょう。
国道465号線の踏切(第1種)手前を右へ曲がり自転車を走らせれば第二五之町踏切はもうすぐ
でっかいカメラを持った撮り鉄が、何やら先にある踏切(第1種)が鳴っている時に、望遠カメラで撮りすぐ下に逃げるとか何やらグレーな事を話し合っております。
ちなみに梅ちゃんは撮り鉄が大嫌い、大学生の時には教師を目指していた事もあり、ゴーヒーをはじめとするマナーが悪くて民度が低い人間は許せないのでしょう。
上総中川駅寄りの国道465号線沿いには歩道の脇で健全(?)に撮り鉄出来る撮影スポットがありますが、菜の花と撮り鉄が嫌いな梅ちゃんにとってやはりココも鬼門。
周りに迷惑かける事なく静態保存の列車を撮影すべくポッポの丘に向かいましたが、駅から自転車で20分程の距離で徒歩だと1時間超えは確実。
ボロボロレンタサイクルでやっとたどり着いたのですが
自転車以上にボロボロの電車達がお出迎え(>_<)
梅ちゃんとゴーヒーが少年時代に活躍していた国鉄車両も彼らの人生同様にボロボロになってしまいました。
「過去ばかり振り返っていたらダメですよ!」とぬいぐるみのクマが2人に語りかけている気がしてなりません。
施設内の「カフェTKG」でたまごかけご飯(605円)を頂きました、これから仕事が少なくなり家でたまごかけご飯を食べる機会も多くなる事でしょう。
営業時間は11:00~15:00で定休日は火・水・木
車両内で食べるたまごかけご飯は玉子がプリプリでお米のおいしい一品
ちなみにゴーヒーは仕事の少ない日にオレがゴネたら梅の野郎が休みになったという武勇伝(?)をクドクドと語っております、梅ちゃんはそんなゴーヒーを心の中で馬鹿にしながら家でたまごかけご飯を食べているのでしょう。
そんな梅ちゃんとゴーヒーですが昼休憩時には皆で仲良く輪になってご飯を食べております
あれは一体何なのでしょうね…嫌い同士なら一緒に食べなきゃイイのに(´・ω・`)
大多喜駅での途中下車は大多喜城と本多忠勝の墓所
お互いを馬鹿にしながらも昼食を向かい合って仲良く食べる2人、理解に苦しみながら駅に戻り自転車を返却していすみ旅を続けます。
梅ちゃんもゴーヒーも職場で主導権を握りたがりの目立ちたがり
多分派遣と覇権の言葉をはき違えて戦国武将にでもなった気でいるのでしょう
そんな気持ちで降り立った駅はいすみ鉄道が本社を置く大多喜駅
かつては徳川家康の家臣で一騎当千の武将「本多忠勝」の居城があった大多喜藩10万石の拠点、ホームにあるのは本多忠勝の代名詞ともいえる鹿角の兜に黒糸威の鎧と愛槍の蜻蛉切(とんぼきり)。
主君の徳川家康が関東に移封してから関ヶ原の戦いまでの期間、本多忠勝はこの地で藩主を務めておりました。
駅から大多喜城までは徒歩の場合、大多喜高校前を通り丘を登って再現天守(博物館)に上るルート(約10分)が近道「観光客のみなさまへ学校敷地内なのでマナーを守って見学してください」との立て看板。
城内(館内)は令和3年2月からしばらくの間休館中で残念ながら外から眺めるだけの散策です
~本多忠勝の武功~
・姉川の戦いでは家康本陣に迫る朝倉義景軍1万に対して単騎駆けを敢行し反撃の糸口を作る。
・一言坂の戦いでは武田信玄軍に猛追され敗走する家康軍の殿(しんがり・最後尾)を務めて撤退をサポート、忠勝の奮戦に感嘆した武田軍は「家康に過ぎたるもの二つあり、唐の頭(兜の飾り)に本多平八(忠勝)」と帰り道で落書き。
・織田・徳川連合軍で武田勝頼軍を壊滅した長篠の戦いでは「花も実も兼ね備えた武将である」と織田信長から大絶賛、しかし当の本人は「武田家の惜しい武将達を亡くしたと思っている、これ以後戦で血が騒ぐ事はもうないであろう」と気分はブルー。
・織田信長が暗殺された本能寺の変ではうろたえる家康を忠勝が諌め、わずか34名で大坂堺から三河に戻る「神君伊賀越え」を進言、伊賀の山中を槍を持って先頭を歩く忠勝、この槍こそが主君の家康を天下に導いた蜻蛉切。
・豊臣秀吉と戦った小牧・長久手の戦いではわずか500名の軍勢を率いて秀吉自ら率いる8万の大軍と対峙、秀吉は忠勝の勇猛さに感激して「徳川家を滅ぼした際には彼を生け捕って我が家人にすべきなり」と忠勝を討ち取ることを禁止。
・関ヶ原の戦いでは豊臣恩顧の武将ながらも東軍についた福島正則から武功ぶりを賞賛されるも「相手が弱かっただけ」と一蹴。
駅の南側には本多忠勝墓所があり、戦国武将マニアや家康(忠勝)ファンであればついでに訪問する事をオススメします。
イラスト引用先:http://www.town.otaki.chiba.jp/index.cfm/10,407,63,html
所々にあるレトロな道案内に沿って行き
まぁ…墓地の一角にある大きめのお墓なだけなのですが(´・ω・`)
お墓をお守りしているのは良玄寺
1590年(天正18)10万石の領主として大多喜へ入城した本多忠勝は、菩提所としてここに良信寺を建立して寺領に100石を寄進しました。1600年(慶長5)関ヶ原の戦いの翌年に忠勝は、伊勢桑名へ移封となり、二男の忠朝が5万石で大多喜城主になりました。忠朝は大坂夏の陣で戦死し甥にあたる政朝が後を継ぎ、寺の名を忠朝の法名をとって良玄寺と改めました。
近くにある夷隅(いすみ)神社は大多喜町の指定文化財で代々の大多喜城主に崇敬・加護されてきた歴史をもつ由緒ある神社。
いすみの漢字が夷隅である事を今度漢字と発送先の住所伝票が大好きな梅ちゃんに教えてあげたい気持ち。
ゴーヒー「潰してやるよ(`Д´)ノ」
終点の上総中野駅で下車 ~いすみ鉄道と小湊鉄道と撮り鉄~
大多喜駅から再度いすみ線に乗車して終点の上総中野駅を目指します
運転手・車掌・アテンドさん3人体制の車両で乗客は満員でまたもや後部座席で立ち乗車
アテンドさんから都心から最も近い秘境駅とのアナウンスがあった久我原駅は、いすみ鉄道ネーミングライツ(命名権)第1号駅で「三育学院大学久我原駅」と愛称がついております、ですが大学までは駅から徒歩15分程度ですが学生は寮生活で鉄道利用は殆どナシとの事(ノД`)
のどかな風景の中を黄色い車体が走っていく様子が撮り鉄達を魅了するいすみ鉄道の魅力なのでしょう
撮り鉄は終点に向かうにつれて数を増していきます
僕も終点の上総中野駅で接続待ちするいすみ鉄道と小湊鉄道の撮影を楽しみにしていたのですが、小湊鉄道は一向に来る気配がありません。ここで直通運転もしくは合併して1つの路線になればいいのにと思いますが、梅ちゃんとゴーヒーの確執みたいなモノがあるのです。
元々は安田財閥所属の民鉄である小湊鉄道はその名の通り外房線安房小湊駅を目指しておりました、一方いすみ鉄道はかつて国鉄の木原線という名称で木更津~大原間の路線になるはずでした。
別々の目的地を目指し延伸した出自の違う2つの路線が偶然この駅で接続、そして両線共に延伸計画が頓挫してしまい、不本意ながらもお互いにココが終点となってしまった珍しい例の両路線。
まるで梅ちゃんとゴーヒーの人生を彷彿とさせるいすみ鉄道と小湊鉄道
梅ちゃん「オレは撮り鉄が嫌いだ!そしてゴーヒーはもっと嫌いだ!(`Д´)ノ」
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