昭和のギャグ漫画「ついでにとんちんかん」の登場人物であるぬけさく先生を思わせる風貌ながら、迷彩服の上下で日雇い現場にやって来る抜作(あだ名・日雇い)は、自衛隊オタクで専守防衛や領空侵犯については余計な知識を持っておりますが、歯は一本だけしかありません。。
そんな抜作を思い出しながら訪れた先は埼玉県朝霞市役所の目の前にある「朝霞の森」でした。
戦前は旧日本陸軍の施設で戦後は米軍基地として使用されており、返還後も長らく国が管理する「留保地」となっていた場所(の一部)でしたが、国と市が管理委託契約を結び市民に開放される広場になった経緯があります。
〈目次〉
朝霞キャンプドレイクとは？
この地域はかつて膝折宿という川越街道の宿場町でしたが、1932年(昭和7)世田谷区駒沢にあった東京ゴルフ倶楽部がここに移転して来ました、その際倶楽部の名誉総裁であった皇族の朝香宮鳩彦王にちなんで「朝霞」と地名を変更します。
東京ゴルフ倶楽部は戦時中に政府・軍の用途の為、1940年(昭和15)国に買い上げられ「帝国陸軍被服廠(ひふくしょう)」という名の軍事施設に、更に終戦後にはアメリカ陸軍から接収され「キャンプドレイク」という名のアメリカ軍基地となってしまいます。
写真引用先:キャンプドレイク | 昭和館デジタルアーカイブ
当時の東西冷戦期においては在日米軍の重要拠点で、兵站や通信・情報関係の部隊が配置され、当時の朝霞周辺は軍事都市の様相を呈しており、半植民地状態で治安も悪く「埼玉の上海」と呼ばれていたそうです。
返還済みノースキャンプ「リトルペンタゴン跡地」は心霊ジャングル
埼玉県の和光市・朝霞市・新座市・東京都練馬区にまたがり総面積は約31.7k㎡、ノースキャンプとサウスキャンプ・サウスに分かれており、現在は一部地域を除いて日本に返還済み。
キャンプ・ノースは国道254号(川越街道)より北側、朝霞市役所手前までの敷地を指し、一般にキャンプドレイクと呼ばれているのは、このノースドレイク跡地の事を指したものです。
朝鮮戦争時にはここから兵士が前線へと送られ帰休兵の休暇場となり、ベトナム戦争時には傷病兵治療のための野戦病院をキャンプ内に建設、それに伴うヘリポートも併設されておりました。
朝霞の森から見える金網の向こうにある2本の棒は、リトルペンタゴンと呼ばれる情報団本部や戦略陸軍通信隊の主要中継局舎跡。
建築や配置の様式などが米国防省本部(ペンタゴン)を連想させる建物で(写真下)、主要中継局舎が作られこれに付随した送信アンテナがサウスキャンプに建設されます。
写真引用先:ヒストリー – 市民が集めた朝霞の歴史 Asaka History Gallery
米軍の通信網やシステムが近代化されたことに伴って横田飛行場への機能移転が決定し、移転完了後の1986年(昭和61)2月14日をもってノースキャンプの全域が返還、その後に郵便局・保健所・学校・福祉施設・公民館・図書館・野球場といった公共施設整備が進みました。
ですが朝霞の森に隣接する保留地は未だに使用目的が決定しておらずジャングル状態
理由は所有権が国にあり市が自由に整備できず、また国の公務員宿舎の案に市民が反対しており、再開発計画が進まず結果的に手付かずの森として現在も残っております。
一方で抜作も日雇い作業ではうすら返事ばかりで使用目的が非常に限られております
朝鮮戦争時にはここから前線に飛び立って命を落とした兵士も少なくなく、ベトナム戦争時には基地内の野戦病院に負傷兵を乗せたヘリコプターが、ひっきりなしに離着陸し傷病者と死体を運んでおりました。
やがてこの場所には「死んだ負傷兵の幽霊が現れる」という怪談が囁かれるようになり、バックパック(リュック)を背負いフル装備の兵士が道路をさまよっている目撃もあったそうです。
ちなみに隣市では迷彩服に甲子園強豪の高校名(日大三高)が刺繍されたリュックを背負った抜作が、仕事帰りのバスを求めて道路をさまよっております。
サウスキャンプ跡地にある未返還でアメリカ軍の所有場所は「AFN送信所」
旧サウスキャンプ南東部(現和光市南地区)にある「AFN送信所」は現在も返還はなされておらずアメリカ軍所有。
キャンプドレイク建設後この場所に送信所が設置され、ここから流される810kHz(AM)の電波は首都圏一帯をカバーし、米兵とその家族にニュース・音楽・娯楽・緊急情報を届けました。
1997年にFar East Network(FEN)からAmerican Forces Network(AFN)へと名称が変更、アンテナは2本あり米軍基地や米軍用住宅地区が多い神奈川方面に指向性を持たせる為、西南西を向いております。
在日米軍施設は日米安全保障条約と日米地位協定に基づき、日本が土地を提供し米軍が運用しており、不要と米軍側が判断しない限り日本政府から返還を一方的に求めることは出来ないのが現状です。
「属国ですよ…」職場で社員に激しく従属する抜作と日本政府を重ね合わせてしまい仕方ありません。
陸上自衛隊朝霞駐屯地もかつてはサウスキャンプだった場所、駐屯地内には一般人が無料で見学できる陸上自衛隊広報センター「りっくんランド」があります。
2025年9月1日から2026年3月上旬まで、第1回目の解体工事及びリニューアル工事を行う都合上で現在は一部施設のみの見学。
展示紹介｜陸上自衛隊広報センター りっくんランド
りっくんランドのマスコットキャラクター「ヒヨコ隊員」は抜作同様に迷彩服を着て自衛官になることを夢見ていおります(･∀･)
