やり方古いんだよと周りから嘲笑されながら閉業していったかつて僕が勤めていた会社。
「社会人だったらお客様の前では巨人ファンと言え!」が浜部長(仮名)の口癖、野球好きの昭和感溢れるサラリーマンは、打ち合わせの時でも仕事の話より巨人V9時代の話ばかり、会社が傾いてしまうも当然な事なのでしょう。
1978年(昭和53)に店を創業した「サン浜名」は今年で46年の老舗店、東京メトロ「東池袋駅」徒歩1分の首都高高架下にある店は「中華 喫茶」「うなぎ 和食」の渋い書体をした看板が、通りがかる人を戸惑わせ敷居を高くしている気がするのは僕だけでしょうか??
〈目次〉
サン浜名1階(和食)のランチ定食は750円
1階(和食)と2階(中華)の店主は義理の兄弟だそうです(ネット調べ)
浜部長はお得意先のサンシャインシティでの打ち合わせ(野球話)を終えた後に定食屋に立ち寄り軽く一杯、そして会社には戻らず自宅にそのまま直帰が定番コース、多分この店にも立ち寄った筈です。
大言壮語の割には気が小さい浜部長、バキバキに破れた看板や薄暗い階段といった2階のカオス具合に躊躇して、いそいそと1階の和食フロアに入る姿が目に浮かびます。
店内に入れば圧倒的な昭和感、さすが巨人V9時代真っ只中に創業しただけの事はあります、浜部長もその頃が青春時代だったのでしょう。
店主と奥さん2人で切り盛りしており、ランチメニューはとんかつ・から揚げ・生姜焼きなどが750円とリーズナブルな価格。
そして副菜の小鉢が種類豊富についているのも大きな魅力、浜部長にとっても財布に優しく部下に堂々と奢る事のできる店だった筈です。
浜部長の部下の「赤い彗星のシゲ」は野球なんか全然興味ないクセに手揉み状態で「僕も巨人ファンです!」とほざく風見鶏社員。
そんな浜部長と赤い彗星のシゲがお気に入りだった(多分)豚ロースとんかつはマヨネーズと千切りニンジンたっぷりの珍しい一品。
周囲から特異な目で見られ社員も一枚岩では無かった会社、肉と衣が微妙にバラけたロースを食べていると浜部長とシゲを思い出して仕方ありません。
アドコミクオリティのとんかつはオンリーワン&昭和の味わいで美味しく頂きました、ちなみにアドコミとは僕達が勤めていた会社の略名です(現在は廃業)。
サン浜名2階(中華)の特浜名オムライスは850円
浜部長も1回位はこの怪しい階段を登って2階の店に入ったのでしょうか?
店主は映画好きなのでしょうか?僕にはゴットファーザーの表紙が広告業界を牛耳ろうとするも、部下がダメダメなアドコミ社長に見えて仕方ありません。
店内に入ると沢山の阪神タイガースグッズ、そうです「サン浜名」2階店主は熱烈なタイガースファン、おそらく浜部長は初めて訪れた時に肩身の狭い思いをして2度と行かなかった事でしょう。
そして1985年に阪神タイガースが優勝した時の写真の下にあるのはオススメのメニュー、僕はインパクトある名の「特浜名オムライス(850円)」を注文しました。
1985年の巨人は江川卓・西本聖両エースの調子が悪く投手陣のアクシデントが続き、オフには定岡正二が任意引退したシーズンで、浜部長の中ではあまり思い出したくない年。
一方漫言放語な赤い彗星のシゲは「僕も阪神ファンであの時は道頓堀に飛び込みました!」とか適当な事を言うのでしょう。
店主が作るオムライスみたいに本音はオブラート(玉子)で包み込み見えなくするのがシゲスタイル。
特浜名オムライスはやや甘めのデミグラスソースがかかっており、通常のオムライスはケチャップソースなのが大きな違い。
刻みベーコン・玉葱とコーンの入ったケチャップライスはしっとり系、そしてふわふわ玉子はびっくりする位の厚め生地。
メニューはお客様の反応を見ながら改良し増やしていったそうです。お客様の感想を素直に受け入れ中華と拘らずオムライスやハンバーグなど、好評であれば増えていった結果、現在のメニュー表は大賑わいとなっております。
物事の本質を捉えず関係ない話や口から出任せでやり過ごしてきた浜部長とシゲは、会社が無くなり途方に暮れる事になってしまいました、年金間近の浜部長はいいとしても、五十路のシゲはこれからも頑張らなければなりません。
サン浜名の1階と2階をむすぶ薄暗い階段には求人募集の貼り紙があります、やる気があれば誰でも大丈夫みたいなのでシゲも連絡してみたらイイでしょう(´・ω・`)
サン浜名
住所:東京都豊島区南池袋2-43-16
電話: 03-3982-6902(1階)・03-3985-1767(2階)
営業時間:11:00〜14:00・18:00〜25:00
定休日:不定休