「もう出禁にしてもらって結構ですから!」
「お世話になりました!失礼します!」
日雇いバイトのタイゾー(あだ名)は忙しい作業を押し付けられキレて仕事場を後にして帰宅、一体いくつの現場をバックレたら気が済むのでしょうか??
タイゾー曰わく「あれはバックレでは無い!スイッチバックだ!」と言い張っておりますが、僕には屁理屈に聞こえて仕方ありません。
そんな気持ちで乗った電車は80‰の急勾配を3度のスイッチバックを交えながら登坂していく「箱根登山鉄道」
〈目次〉
- 小田急乗り入れ区間(小田原~箱根湯本)
- 最大勾配80‰(パーミル)を登り降りする箱根登山鉄道のスイッチバック
- 最後部座席から見る箱根登山電車スイッチバック3連発
- 宮ノ下セピア通り沿いにある「渡邊ベーカリー」のシチューパンはお手頃価格ランチ
- 「のんびりきっぷ」(小田原~強羅)のケーブルカー利用は不可
小田急乗り入れ区間(小田原~箱根湯本)
まずは小田原駅改札で箱根登山電車1日乗車券「のんびりきっぷ1580円」を購入
小田急線8,9番線の先(箱根方面)にある11番線が箱根登山電車乗り場なのですが「小田原~箱根湯本」間は小田急車両のみでの運行。
かつてこの区間は小田急線の1067mm線路幅(狭軌)と箱根登山鉄道の1435mm線路幅(標準軌)、車幅の異なる両方の列車を走らせる為に三線軌条を取り入れておりました。
ですが現在は「小田原~箱根湯本」は小田急車両のみでの運行になり、箱根登山鉄道用の軌条は撤去。しかし「入生田(いりゅうだ)~箱根湯本」は入生田駅に隣接している箱根登山鉄道車庫の都合で現在も三線軌条になっております。
箱根登山鉄道はこの区間を平坦線と称しておりますが、実際には40‰の勾配が続いてカーブも多く小田急車両にとっては速度が上がらない難所区間なのです。
最大勾配80‰(パーミル)を登り降りする箱根登山鉄道のスイッチバック
箱根登山鉄道のホームは平日・休日関係無い年配の方々や外国人観光客も多くいつも激混み状態。
ですが運行本数が多く鉄オタ度は低めなので1,2本電車を見送れば先頭or最後尾の特等席に座る事が出来ます。
箱根登山鉄道の車両
モハ1形
箱根登山鉄道開業時からの車両であるチキ1形を、1950年の小田急車両の乗り入れ開始時に改造した車両。
車内は扇風機・特等席はロングシートで乗り心地はイマイチですが、写真映えするビジュアルで箱根登山鉄道と言えばやはりこの車両でしょう。
2000形
1989年に登場した車両で、スイスのレーティッシュ鉄道の駅名「サン・モリッツ号」が別称
特等席はクロスシートですが1部ロングシートの車両もあって予断を許さない車両、外見はレーティッシュ鉄道を真似た赤いビジュアルがやや鼻に付きますがまぁ許容範囲です。
3000形
2014年に登場した別称は「アレグラ号」デザインは小田急ロマンスカーVSE・MSEのデザイナーが手がけたそうですが見てくれが最新鋭過ぎてつまらない車両(´・ω・`)
でも特等席の大きな窓ガラスや車両側面展望窓など乗り心地はとても良し。
箱根湯本駅を出発したらいきなりの急勾配、ケーブルやラックを使わない粘着式(通常の線路)では日本最急勾配80‰の箱根登山鉄道
80‰登坂時の先頭と最後尾の高低差は2両で240cm・3両で360cmになります。
~スイッチバックとは~
鉄道車両の登坂能力を大きく超える勾配を克服する為に、急斜面にジグザグ状に線路を敷き、列車の先頭と最後尾を変えながら坂を登っていく方式。
イラスト引用先:スイッチバックとは?その仕組みや全国のスイッチバックをご紹介! | トレたび - 鉄道・旅行情報サイト
箱根登山鉄道のスイッチバック地点は3箇所
出山信号場(標高222m)
大平台駅(標高337m)
上大平台信号場(標高346m)
タイゾーも自分の能力を大きく超える壁を克服する為に、進むべき道と逆方向にバックれて坂を登ったつもりになっているのでしょう。。
箱根湯本の隣駅はトンネルに挟まれた秘境感溢れる「塔ノ沢」上りホーム目の前には銭洗弁財天がありタイゾー好みの駅。
タイゾーはニート時代に神社で銭洗いばかりをしておりました
そんなタイゾーにあやかって僕もジャブジャブしようかと思いましたが池の水がバッチいのでやめました(´・ω・`)
再び登山電車に乗って山を登っていきます
「出山の鉄橋」の別称で名所として多くの観光客に親しまれている「早川橋梁」は現存する日本最古の鉄道橋。
1888年(明治21)に東海道本線の天竜川橋梁の一部を貰って転用したもので国の登録有形文化財に指定されております。
車窓に広がる雄大な景観は沿線で随一、心なしか列車もゆっくりと走ってくれている気がします
箱根登山電車の平均速度は約20km/h「観光列車だからゆっくり走っているんだろう」と思っている人もいるかもですが、80‰の急勾配ではこの速度が精一杯なのです。
タイゾーの日雇い作業同様に速く突き進む事は出来ないのです
最後部座席から見る箱根登山電車スイッチバック3連発
早川橋梁を越えると1回目のスイッチバックの出山信号場で坂を下ってくる上り列車を待ちます
モハ2形の108号が80‰の急勾配を慎重に降りながらスイッチバック地点へ
そして僕達の乗っている2000形が、最後尾を先頭にして80‰の急勾配を登坂していくのです。
後ろが前になり彼女いない歴50年のタイゾーがいきなり令和一のモテ男になった様なものです、どんな急な坂だって登って行けそうな気がします。
ちなみにタイゾーは職場で旦那と別居中の女性を狙っており、彼女の心の穴を埋める寛容な男を演出しておりますが、ニヤニヤばかりして気持ち悪がられております。
先頭は一瞬の出来事で第2のスイッチバック地点「大平台駅」では再び最後尾になってしまいタイゾーもガッカリ。。
それにしても急勾配を登り降りしてスイッチバック地点に到着する列車の後ろ車両はありえない位の傾きで「よっこらしょ」って感じ。。
大平台駅からほど近くの上大平台信号場で3度目のスイッチバック、再び先頭に返り咲いてこのまま終点の強羅まで最前列の特等席。
急勾配だけでなく半径30mのキツいカーブも克服していかなければならない箱根登山電車には様々な装備があります
・通常のブレーキの他にレールに直接シューを押しつける特殊ブレーキを装備
・自動連結器では列車が分離するおそれがあるので密着連結器を装備
・急勾配の箱根登山電車ははレールに水をまいて走ります。そのため360Lの水タンクを装備。
・バッテリーはフロート方式で停電時にも影響を受けない仕様
タイゾーもやって来る筈も無い女性との一夜に備えて通販サイトでアダルトグッズを購入・装備(ノД`)
宮ノ下セピア通り沿いにある「渡邊ベーカリー」のシチューパンはお手頃価格ランチ
箱根登山鉄道途中駅でランチとなれば宮ノ下が一般的、特に駅前のセピア通りには洒落た店も多くお気に入りランチが見つかる事でしょう。
僕のオススメは創業1891年(明治24年)の老舗パン屋「渡邊ベーカリー」の看板メニュー「温泉ビーフシチューパン(650円)」
創業当時から受け継がれたフランスパンを器に、ビーフ・ジャガイモ・ニンジンなどの具材がゴロっと入った熱々のビーフシチューを注ぎました。シチューが入っておりますので、ご提供から30分以内が美味しく召し上がっていただけるお時間となっております。店内ではトーストしたての熱々をご提供しておりますのでぜひご賞味ください。
メニューの紹介はこちら
イートインスペースも8席ありこれは是非とも店内で食べるべきでしょう
まずは蓋部のパンをシチューにつけながら食べ
次はスプーンでシチューと具の旨味を楽しみ
最後はシチューが染み込んだ器部分のパンを頬張って「ウマー」
テイクアウトしたあんパンを食べながらセピア通りを歩いて駅に戻ります、ちなみに渡邊ベーカリーの隣は魚屋でその隣は豆腐屋。
明治11年創業「嶋写真館」の店頭にある写真を指差して「オレもこの人達と同じレベルの一流」と大ボラを吹くタイゾーを妄想(左ジョン・レノン/右チャールズ・チャップリン)
ですが富士屋ホテルをペコちゃんの会社が経営している不二家ホテルだと思っているタイゾーは一流とは全く無縁。
そしてタイゾーがシチューパンを見たらアダルトグッズと勘違いする事でしょう(´・ω・`)
「のんびりきっぷ」(小田原~強羅)のケーブルカー利用は不可
宮ノ下駅を過ぎれば終点の強羅までは3駅ですが所々に現れる80‰の急勾配
小涌谷踏切は箱根駅伝のコースでレース時は鉄道職員が待機していて状況を見ながらランナーを優先的に通過させる名所
間もなく強羅駅に到着、標高は541mで、箱根湯本駅(標高96m)とは445m、そして小田原駅(標高14m)とは527mもの標高差があるのです
山小屋っぽい造りの駅舎でここから更に上へ登るケーブルカーとの接続もあり多くの観光客で賑わう強羅駅
駅構内には箱根登山鉄道の古参車両のモハ1形101号の模型
モハ1形は101号は1919年(大正8)年製の木造車チキ1形の主電動機と台車を流用し1950年(昭和25)に製造されました、1991年(平成3)2両固定編成の改造工事が行われ、長い間路線の主力として活躍してきましたが、老朽化により 2002年(平成14)廃車となりました。
残念ながら1日乗車券「のんびりきっぷ」の区間は「小田原~強羅」でケーブルカーは適用外で、乗る場合には別途料金が発生するので仕方なしに箱根登山鉄道に再度乗ってUターン。
彫刻の森美術館にある金の玉を見ていたらまたしてもタイゾーを思い出してしまい、使用される事の無いアダルトグッズが不憫でなりません。
いつかはハードに使用したいものです(*´Д`)ハァハァ