小学校時代のクラスメイト「外吉(がいきち・あだ名)」の縄文時代ネタのフェイスブック投稿にイラッとする夏休み。
外吉が転校して来た時は歴史の授業は室町時代あたりで古代はとうに終わっており、ましてや日本史は縄文時代の前から始まっているなんぞ外吉は知る由も無い事でしょう。
そんな無知な外吉を思い出しながら向かった先は群馬県みどり市にある岩宿遺跡、関東ローム層の中から縄文時代以前の打製石器が発見され今までの学説が大きく書き替えられ、日本の考古学史上で最大級の発見となりました。
〈目次〉
「岩宿ドーム」で遺跡A区・B区と岩宿Ⅰ・岩宿Ⅱの違いを知る
かつては日本における人類の歴史は縄文時代から始まったのが定説で、特に火山灰が堆積した関東ローム層の年代(約70万年前~1万年前)は赤城山麓をはじめとした群馬県の山々が激しい噴火を繰り返しており、人間が生活できる自然環境ではなかったという学説が有力で旧石器時代の存在は否定されておりました。
1949年(昭和24)行商をしながら独学で考古研究を行っていた相沢忠洋が、岩宿の関東ローム層中から明らかに人工品と認められる槍先形石器を発見、この石器を携えて相沢忠洋は桐生から東京までの長距離を自転車で行き来して学者や大学教授に説明して回りました。
この打製石器を相沢忠洋から見せて貰った明治大学大学院生芹沢長介は、助教授の杉原荘介に連絡、赤土の中から出土するという重大性に同意して同年秋に杉原・芹沢・相沢を含めた6人で調査を実施します。
切通しの北側をA区(写真右)そして南側をB区(写真左)と命名して発掘を開始、そしてA区において上下2層の石器文化層を確認、日本人類史の始まりを一挙に万単位で遡らせた定説を覆す発掘でした。
史跡岩宿遺跡(A区)
1万年以上前の日本列島にも人が住んでいたことを初めて証明した記念すべき発掘地点
その後行われた発掘調査により岩宿遺跡の石器群は約3万年前の「岩宿Ⅰ石器文化」と約2万年前の「岩宿Ⅱ石器文化」の2種に分類されることが分かり、それぞれ種類の違う石器が出土していることから長きに渡って岩宿で人類が暮らしていたことが明らかになりました。
岩宿遺跡B区は地層断面を保存・展示するための施設として、史跡岩宿遺跡保護観察施設(岩宿ドーム)を1990年(平成2)に建設、入館無料で旧石器時代を含めた関東ローム層の観察が出来ます。
ついでに打製石器の発見と共にマンモスもいた事になっている岩宿の歴史をアニメで上映しております
ドーム上(B区)は岩宿遺跡発掘のきっかけとなった、相沢忠洋が石槍が発見した場所、ちなみに外吉の担任教師も昭和の頃に岩宿遺跡を訪問したみたいですが「あんな所に行っても全然面白くない」と言っており、外吉とは違い古代のロマンを全く理解していない教師でした(´・ω・`)
「岩宿博物館」で相沢忠洋の愛用自転車を見る
旧石器時代研究の先駆けとなった岩宿遺跡は国の史跡に指定、また新たに「岩宿Ⅲ石器文化」の石器群も発見され、2006年(平成18)には「岩宿博物館」が開館しました(入館料310円)。
階段を登って2階に行けば相沢さんが発見した美しい縞模様が特徴の槍先型尖頭器が展示。
発掘調査で下の層から発見された「岩宿I」の石器は石斧・石刃を材料としたナイフ形石器
上の層から発見された「岩宿Ⅱ」の石器は角錐状石器・切出形・ナイフ形石器が中心で他に削器などがあります
しかしこんな石ころを人工物と分かっちゃう鑑識眼がすごいですね
石器の展示だけでは間がもたないと感じたのか、マンモスの骨格複製や意味不明な展示もあったりします。
ちなみに外吉は古墳時代がお気に入り
岩宿遺跡からはっきりとした家の跡が発見されることはほとんどありません、理由は狩りをしながらの生活だったので数ヶ月ごとに引っ越す必要があり、テントみたいに短時間で建てられる家が当時の生活に適していたと考えられます。
竪穴式住居がお気に入りの外吉はガッカリ(´・ω・`)
ちなみに古代のロマンが分からない担任教師も卒業式の時にはロマンチックになってしまい、生徒の前で「みんな大好きだー!」と号泣。
そして外吉は帰り道に「みんな好き者だ~」と物真似
博物館内で一番の歴史を感じさせる展示物が相沢さん愛用の自転車、こんなので石器を持ちながら桐生と東京を往復していたのだから恐れ入ります。
たまにはバイクで行ったりもしていたのでしょうか?
外吉だったら鹿に乗って出撃する事でしょう(・д・)
「岩宿人の広場」で旧石器時代の家(複元)に触れる
博物館の近くには「岩宿人の広場」があり、ヨーロッパと日本の岩宿時代 (旧石器時代)の人々が住んだ住居が復元されています。
マンモスの骨格(複製)で作った住居があったので、外吉を懐かしみながらフェイスブック投稿をしましたが誰からも反応がありません(>_<)
昔の家は中が丸見え
外吉「みんな好き者だ~~(>_<)」
みどり市岩宿博物館
住所:群馬県みどり市笠懸町阿左美1790-1
電話:0277-76-1701
URL:https://www.city.midori.gunma.jp/iwajuku/
入館料:310円
開館時間:9:30~17:00(最終入館16:30)
休館日:毎週月曜日